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- 『石に棲む魚』の制作に取り組まれたきっかけをお聞かせください。
- 『石に棲む魚』のはじまりは、4〜5年ほど前、長女が3歳の頃に、一緒にリバーウォッチングをしていたときのこと。娘が川を泳いでいる魚を捕まえることができず、河原石を拾ってきて「この石に今泳いでいる魚を描いて」とせがまれたことが、創作のきっかけとなりました。
「川の石に、そこに棲む魚を描く」という発想におもしろさを感じ、お遊び程度ではじめたのですが、試行錯誤を繰り返す中で「どうせやるなら机上の創作ではなく、地元の魚を本気で描きたい」と思うようになり、実際に川に出かけ、そこに棲む魚たちの姿を観察し、自然の中での生態や体色、行動を忠実に写し取るという現在の手法に発展して行きました。
- eco japan cup 2007への応募動機をお聞かせください。
- 妻がeco japan cup 2007の募集広告を見つけ、応募を勧めてくれたのが直接的なきっかけです。
私の作品は、部屋に飾って眺めるようなものではなく、実際に作品に触ってもらい、楽しんでもらうアートコミュニケーションとして考えています。『石に棲む魚』は、淀川・琵琶湖流域に生息している固有種の淡水魚類を実寸で泳いでいる姿をそのままに描いたネイチャーアートであり、カンバスとなる石はすべて描かれた魚たちが実際に棲んでいる流域の河床を形成している石。実際に作品に触れてもらうことで、上流から下流までの石の性質、そこに棲む魚たちのことを語りながら楽しんでもらいたいアートコミュニケーションとしています。ですから、この作品を通してより多くの人たちに地元水系の生態系が持つ素晴らしさを知ってもらいたい、という思いが一つ。また、私は大阪が活動フィールドの中心となっているので、東京でも私の作品を見てもらえる機会を作りたい、という考えから、eco japan cup 2007へ応募しました。
- 「eco」に対するクリエイティブ力の可能性は、どのようなところにあるとお考えでしょうか。
- 環境問題や環境活動と言うと、どうしてもアカデミックな話が多くなり、興味をなかなか持ってもらえませんが、そこにエンターテイメント性があるアートというものを切り口にすることで、環境に対してみんなが目を向けるきっかけづくりができるのでは、と考えています。
自然や環境活動に興味があってもアートには関心がない。アートは大好きでも自然や環境への取り組みには興味がない。その両者に同時に興味や関心、共感を抱かせることができれば、環境活動も大きく拡がるのではないかと思います。
そうした思いから、作家やアーティストなどのクリエイターが集まり、2006年にNPO法人「nature works」を設立しました。「nature works」では、アートとエコとの架け橋となり、よい多くの人たちに自然や環境に対する興味を持ってもらうきっかけとなるような活動を展開中です。
- 今後、創作活動をどのように発展させていきたいとお考えでしょうか。
- 正直、受賞のご連絡をいただいた時は、「私のような地味な世界で賞をいただいていいものか」と思いました。ですが、非常に名誉なことですし、私のような活動をする人間を知ってもらえるきっかけづくりになったと思います。
今後も、ほとんどの人が見向きをしない野生や当たり前すぎて題材にならないような自然、そしてそこに棲む生き物たちの肖像画を、私が生きている限り、少しでも多く描き続けていきたい。また、そこで生まれた作品をさまざまな形で利用してもらうことで、世の中の役に立つことができれば嬉しいですね。